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東洋医学 気の流れの測定・診断と治療

¥ 11,000 (税込)

気エネルギ-あるいは経絡の解剖学的所在とその作用を、電気生理学的に実証し、AMIによって測定された四つのファクタ-による経絡機能状況の治療点決定法を、膨大な資料により紹介する。

B5判上製 307頁
本体価格:10000円
ISBN:978-4-87960-031-8

商品カテゴリー: Product ID: 1455

説明


十年余り前『経絡―臓器機能測定について』を書いた頃には、BP(Before Polarization-current)やIQ(Integrated Electric Charge)、TC(Time Constant)等について十分な解明ができていなかった。

その後の十年余りの研究と、AMI(本山式経絡―臓器機能測定器)の数次に亘る改良、コンピューターの導入等で、外からかけた電圧に対して、表皮基底膜の上下で逆分極が生ずる前に流れるBPの電流は、実は真皮内の多水僧の内を流れる電流で、BPの値は経絡の陰陽関係と関連し、経絡の状態について情報を与えてくれる変数であることが判明した。今迄,逆分極が生じた後の電流値AP(After Polarization-current)で経絡について研究する簡単な器械が沢山あったが、それらは皮膚や経絡に関連した神経の機能や状態を調べることが主であり、経絡について調べることは、間接的なものにすぎないことも判明した。

IQは、表皮基底膜の上下で、外圧に対して、これを打ち消すために生じる逆分極を成立させるための電気的エネルギーの総量であり、生体の防御機能、生体恒常性保持機能を表わす変数(パラメーター)であることもわかってきた。

TCは、上の逆分極が完了するに要する時間で、おおよそ50μsec~100μsecである。これは,生体防衛機能が速やかに十分に外圧に反応するか否かを知る目安となる。現在、アメリカのテキサスのある医学研究所では、このTCの値が、ガン患者か否かを診断するかこ大いに役立つという研究が進められている。

この2~3年は、コンピューターをAMIにつなぎ、どの経絡に虚、実、左右差、陰陽の逆転が生じているかを、プログラムに従って正確かつ迅速に測定、判定することができる。

さらに、2~3年かけて、虚、実、不安定(左右差を示す)、陰陽の逆転を示す経絡に、バランスをもたらすにはどうしたらよいかを知るために、針の効果テストを行なったが、この一連の実験の結果から,針刺戟による経絡のバランス化、安定化、身心の健康は、どうしたらよいかが次第に判明した。この実験結果に基づいて、針等による経絡治療についての章を設けた。

現在のAMIでは、電極を井穴につけるだけで、後は測定スタートのボタンを押せば、測定,診断,針治療点の決定,さらには,ヨガのナディ,チャクラ系との関連による体質―性格の判定まで,一連のプログラムに従って打ち出されてくる.便利になったものである。

付録Iとして,異常経絡におけるBP,AP,IQの分析を通して,それらの諸性質を比較考察し,年間,シーズンにおける虚,実,不安定,逆転を示す経絡が,陰経,陽経のいずれで多いか,手足の経絡のいずれに多いかを分析し,陰陽の経絡,手足の経絡と異常経絡(虚、実・・・)との関係を明らかにした。

付録Ⅱとして,坂下耳鼻咽喉科(岩手県)で鼻アレルギーの患者150名余りをAMIで測定したデータに基づいて,鼻アレルギーと特定の経絡との関係を明らかにし,鼻アレルギーの経絡治療の方向づけを行なった。

付録Ⅲでは,谷クリニックの谷医師との協力で,附子がどの経絡に影響を与えるかの実験を行ない,附子は陽経ではなくね陰経に大きな良効果を与えることが判明した。

十年というと,長いようで,毎日忙しく種々の研究や実験,講演,本を書くことなどに追われていると,あっという間にたったような気もするが,前掲書『経絡―臓器機能測定について』で不明であった点が,種々の点で明らかになったことは,十年の努力が無駄でなかったとしみじみと思います。

読者の皆さん方の十分な御理解と御協力,御批判を載ければ幸いです。

最後にこの本を書くにあたって,実験,計算,プログラム作成等において,懸命に協力して下さった皆さん,本の作成,校正を協力して下さった皆さんの名前を列挙して感謝の意を表したいと思います。

実験を手伝ってくれた,理学博士,原田敏明,理学修士Warren Smith, 医学博士,藤木健夫,針灸師,北岡洋平,吉田雅子,Stephen Brown,計算を手伝ってくれた本山カヲル,北岡桂子,吉田雅子,倉谷清美,本の編集・校正を担当してくれた本山カヲル,吉田雅子,窪田緩,赤坂文郎の諸氏及び,付録の実験研究に協力してくれた坂下義了,谷美智士の両医師.

多くの人々の協力をえ,やっと十年の歳月を経てこの本ができたことを,上記の皆さんに感謝しつつ共に喜びたいと思います.

なお,印刷,製本にいつも献身的協力をしてくれる,一ツ橋印刷の原田氏にも心から感謝したいと思います.

1984年6月8日
本山 博

経絡の証明とBP、AP、IQ、TCの電気生理学的意味


I章 皮膚電気現象の二種
1)交感神経性の同時的全身性のもの  2)局所的皮膚電気現象

Ⅱ章 経絡の存在証明
1)三焦経による経絡の証明  (1)実験(2)考察
2)液晶による実験 (1)方法(2)結果と考察(3)結論

Ⅲ章 本山式AMIによる測定で得られるデータとその意味
1)AMIによる測定方式
2)測定される波形
3)測定波形の各部分の説明
(l)BP(2)IQ (3)TC (4)AP
4)BP、AP、IQ,TCと皮膚組織との関係
(1)BPは皮膚組織のどこを流れる電気現象か
(2)IQ、TC、APは皮膚組織のどこで生ずる電気現象か
5)まとめ

Ⅳ章 BP、AP、TC、IQの性質と意味を、46人各人の平均値の度数分布と標準偏差についての考察に基づいて考える
1)グラフAⅠ、AⅡ 2)グラフB 3)グラフC 4)グラフD

V章 診断の実例
1)E.U.のデータ 2)T.B.のデータ 3)A.K.のデータ

経絡の本質と気の流れ


Ⅰ章 BPは経絡機能のパラメーターである.真皮結合織は経絡ではなかろう
(I)BP、AP、IQ、 TC のうち,BPの値は経絡と関係のあるパラメーターである
1)BP、AP、IQ、TCの意味
2)BP値では,陰陽関係にある経絡間で陰>陽の関係が最も多く示される
(1)BP値には,陰経>陽経の関係がある(2)陰>陽を示す陰陽関係経絡について
(3)陽>陰を示す陰陽関係経絡におけるBP,AP,IQについて
(4)陽>陰をホす経絡とシーズンの関係をBP,AP,IQについてみる
(5)季候の移行期における心包経―三焦経のBP値の逆転について
3)BPの値は真皮内の電気現象を示すパラメーターである

(Ⅱ)真皮の構造と機能
1) 真皮の構造と成分
(1)構造(2)真皮結合織を構成する三つの成分
2)BPの値を決定すると思われる真皮結合織の作用と機能
(1)真皮結合織は電解質の貯水池
(2)ヒアルロン酸の網状組織は高い負電荷をもち,イオン交換器のように働く
(3)結合織の高分子電解質変化とNa+イオン変化の関係
(4)ムコ多糖蛋白と無機イオンの相互関係
(5)ヒアルロン酸、Na+水分代謝の密接な関係―BP値とヒアルロン酸の関孫
(6)BP値に変化を与えるwater-rich,water-poor相の比率はヒアルロン酸の性状で変わる
(7)ヒアルロン酸の変化―リューマチ―BPの変化

(Ⅲ)真皮結合織内を流れるBPの本質は何か

Ⅱ章 経絡の気の流れの速さと方向性についての実験
(I)実験目的

(Ⅱ)測定法
(1)経絡の選択(2)測定点と電極(3)測定法(4)被験者数

(Ⅲ)データの考察
1)GSRと経絡反応の相違
2)気の流れの知覚と気の流れの電気的反応との関係
(1)気の流れの知覚と電気的反応の有無
(2)気の流れの知覚部位と電気反応部位の相違
(3)気の流れの知覚がないと、電気的反応があまりない
(4)気の流れは,よく異常な経絡や機能異常の臓器に集まり,知覚される
(5)知覚神経と経絡及び経絡電気現象との関係
(6)気の流れをコントロールする高位中枢はどこにあるか
(7)気のエネルギーは異常な経絡や臓器に集まりやすいことについて
3)気の流れの速度
(1)電気現象として捉えられた気の流れの速度(2)知覚による気の流れの速度(3)むすび
4)気の流れの方向
(1)経絡中の気の流れの方向―陰経と陽経―
(2)経絡の走向に沿うて針の響きが生ずる
(3)経絡の流れに沿うて気の知覚が生ずるとは限らない
(4)三陰三陽の関係がみられ
(5)陰陽関係による現象(6)むすび

Ⅲ章 考察と結論
(I)I章を通して明らかとなったこと,及びそれらについての考察と結論
(1)BPの値は真皮結合織内を流れる電気エネルギーのパラメーター
(2)BPの値は経絡の状況を示すパラメーターであり,真皮結合織が経絡に相当する
(3)BPの値に影響を与える真皮結合織内の諸因子
(4)BPの本質は真皮結合織内のイオンの流れでなく,電気エネルギー伝達による流れであり,BPの値は経絡にあたる真皮結合織の
性状を示すパラメーターである

(Ⅱ)Ⅱ章を通じて明らかとなったこと、及びそれらについての考察と結論
(1)神経性GSRと経絡反応の相違
(2)気の流れの知覚と電気的反応の有無
(3)気の流れの知覚部位と電気的反応部位とが一致する場合
(4)気の流れの知覚部位と電気反応部位の相違するケース
(5)身体の異常部位に気が集まりやすい
(6)知覚される気エネルギーは物理化学的エネルギーである
(7)経絡系,気エネルギーをコントロールする高位中枢とは
(8)気の流れの速度
(9)気の流れの速度と順向,逆向
(10)経絡の虚、実と気の流れ
(11)知覚される気エネルギーと電気反応としての気エネルギーの速度の相違
(12)気の流れの速度と神経インパルスの速度との比較
(13)BPの速度と気の流れの速度の比較.BPとは経絡の物理化学的状態を示すパラメーター
(14)気の流れの方向
(15)気のエネルギーの知覚,針の響きの知覚は必ずしも経絡に沿うて起きるとは限らない
(16)三陰三陽関係の実在
(17)陰陽関係の実在

診断のための基準

I章 三つの共通基準値のうち、何れが経絡機能の診断に最適か
1)三つの基準値とその決め方
(1)A式基準値の決定法(2)B式基準値の決定法(3)平均偏差によるC式基準値
2)経絡の実験群とコントロール群
3)三つの共通基準値の何れが経絡―臓器の機能異常,正常を診断するのに最適か

Ⅱ章 個人内基準とその有効性について
1)個人内基準作成について
(1)個人内基準作成の目的(2)個人内基準値の作成と虚、実、逆転の診断
2)個人内基準の有効性判定

全身についての診断法

(I)全身的パラメーターの意味
1)BP, AP, IQ について
(1)BP, AP, IQ の意味について
(2)平均値の基準値の設定法
2)SDの意味 3)F/Tの意味 4)L/Rの意味

(Ⅱ)基準値の設定法

(Ⅲ)全身的パラメーターについての〔平均値±平均偏差〕による上限,下限,正常の基準値が有効かどうかをみる
1)BP、IQ、APの平均値の基準値の有効性をみる
(1)正常クラスと異常クラスとの比較(2)>上限クラスと正常クラスとの比較
(3)<下限クラスと正常クラスとの比較
2)SDの基準値の有効性について
(1)正常クラスと異常クラスとの比較(2)正常クラスと>上限クラスとの比較,及び正常クラスと<下限クラスとの比較
3)F/T、L/Rの基準値の有効性をみる
(1)3クラス間の有意差をみる(2)3クラス分けの有効性について
①F/T>N.S.のデータ例 ③L/R<N.S.のデータ例 ④結論

針の効果テストと治療法

I章 針の効果テスト
1)目的 2)測定法(1)測定器とデータ処理のコンピューター(2)測定法
3)データ処理と検定
②F/T<N.S.のデータ例
4)針効果判定のための条件

Ⅱ章 針の効果テストデータの分析,考察と治療法について―BPについて―
I)10種の経絡全体での変化について
(I)原穴,兪穴,募穴の刺戟経穴を中心として,各刺戟が10種の経絡に与える影響,変化の相違を,全体的に各刺戟経絡においてみる
1)原穴刺戟による針効果テストデータの分析と考察
(1)虚の経絡原穴刺戟(表2)(2)実の経絡原穴刺戟(表3)
(3)逆転の経絡原穴刺戟(表4)(4)不安定の経絡原穴刺戟(表5)(5)考察とまとめ
2)前穴刺戟による針効果テストデータの分析と考察
(1)虚の経絡兪穴刺戟(表6)(2)実の経絡兪穴刺戟(表7)
(3)逆転の経絡兪穴刺戟(表8)(4)不安定の経絡兪穴刺戟(表9)(5)考察とまとめ
3)募穴刺戟による針効果テストデータの分析と考察
(1)虚の経絡募穴刺戟(表10)(2)実の経絡募穴刺戟(表11)
(3)逆転の経絡募穴刺戟(表12)(4)不安定の経絡募穴刺戟(表13)(5)考察とまとめ

(Ⅱ)原穴,髄穴,募穴刺戟の効果の相違をみる
1)刺戟経絡を中心として上記の相違をみる
(1)虚の経絡について(表14)(2)実の経絡について(表15)
(3)逆転の経絡について(表16)(4)不安定の経絡について(表17)(5)まとめ
①全体について比較(表18)②経絡ごとに比較 ③総括(表19)
2) 四つの異常経絡の原穴,兪穴,募穴の各刺戟が,何れのグループに,及び10種の経絡の何れに最も影響を与えるかを,刺戟穴を中心としてみる(表20)
(1)原穴刺戟 (2)兪穴刺戟 (3)募穴刺戟
(4)原穴,兪穴刺戟が相生,相剋関係経絡に与える影響について
3)刺戟経絡への影響を中心としてみると,3刺戟穴のうちどれが一番大きな影響を与えるか
4)以上のまとめ
(1)刺戟経絡を中心としてみた分析のまとめ
(2)各刺戟経絡の原穴,兪穴,募穴の各刺戟が,何れのグループ及び何れの経絡に大きな影響を及ぼすか,及ぼさないか
(3)(1)を表にまとめる(表21)(4)(2)を表にまとめる(表22)
(5)表21,表22の要約(表23)(6)4刺戟経絡の3刺戟でみられるその他の特徴‥
5)3刺戟の各々が何れの経絡に最も影響を与えるかについての分析の総合
(1)原穴刺戟(2)兪穴刺戟(3)原穴刺戟,兪穴刺戟と五行グループ(4)募穴刺戟
6)3刺戟と刺戟経絡との関係 7)5)と6)のまとめ(表24,25)8)(Ⅱ)全体のまとめ

Ⅱ)各経絡での変化について
(I)最虚の経絡刺戟について
1)L%~R%について(表26(A))
(1)平均変化率より高い変化を示す経絡の数
(2)変化の内容(3)有意な増加,減少を示す経絡
(4)3グループの経絡での変化(表27)
2)D%について(表26(B))
(1)平均変化率より高い変化を示す経絡の数
(2)変化の内容(3)有意な増加,減少を示す経絡
(4)3グループの経絡での変化(表28)
3)考察とまとめ
(1)10種の経絡に最も大きな影響を及ぼす刺戟穴
(2)各3穴刺戟が3グループの経絡に及ぼす影響(表29)
(3)各3穴刺戟が有意な増加,減少を及ぼす経絡
4)治療法について 5)増・減間に有意差のないケースについて(表30)

(Ⅱ)最実の経絡刺戟について
1)L%~R%について(表31(A))
(1)平均変化率より高い変化を示す経絡の数
(2)増・減間に有意差のないケース(3)有意な増加,減少を示す経絡
(4)3グループの経絡での変化(表32)
2)D%について(表31(B))
(1)平均変化率より高い変化を示す経絡の数
(2)有意な増加、減少を示す経絡(3)3グループの経絡での変化(表33)
3)考察とまとめ
(1)各3穴刺戟が10種の経絡に及ぼす影響(2)各3穴刺戟が3グループの経絡に及ぼす影響(表34)
(3)各3穴刺戟が有意な増加,減少を及ぼす経絡
4)治療法について(表35)

(Ⅲ)最逆転の経絡刺戟について
1)L%~R%について(表36(A))
(1)平均変化率より高い変化を示す経絡の数
(2)有意な増加,減少を示す経絡(3)3グループの経絡での変化(表37)
2)D%について(表36(B))(1)平均変化率より高い変化を示す経絡の数
(2)有意な増加,減少を示す経絡(3)3グループの経絡での変化(表38)
3)考察とまとめ
(1)各3穴刺戟が10種の経絡に及ぼす影響
(2)各3穴刺戟が3グループの経絡に及ぼす影響(表39)
(3)各3穴刺戟が有意な増加、減少を及ぼす経絡(表40)
(4)治療法について

(Ⅳ)最不安定の経絡刺戟について
1)L%~R%について(表41(A))
(1)平均変化率より高い変化を示す経絡の数(2)有意な増加,減少を示す経絡
(3)3グループの経絡での変化(表42)3) D%について(表41(B))
(1)平均変化率より高い変化を示す経絡の数(2)有意な増加,減少を示す経絡(3)3グループの経絡での変化(表43)
3)考察とまとめ
(1)各3穴刺戟が10種の経絡に及ぼす影響(2)各3穴刺戟が3グループの経絡に及ぼす影響(表44)
(3)各3穴刺戟が有意な増加,減少を及ぼす経絡(表45)4)治療法について

Ⅲ)総括
(Ⅰ)10種の経絡全体への影響について
1)刺戟経絡を中心としてみた3穴刺戟効果の相違(表46)
(1)最虚の経絡の3穴刺戟(2)最逆転の経絡の3穴刺戟
(3)最実の経絡の3穴刺戟(4)治療効果について
2)刺戟経穴を中心としてみた3穴刺戟効果の相違
(1)各刺戟経絡における各刺戟穴刺戟(表47)
(2)治療法に焦点を当てて上記を要約
3)刺戟経穴を中心としてみた10種の経絡への影響
(1)最も大きな影響を与える刺戟穴(2)最も影響しない刺戟穴
(3)兪穴刺戟と刺戟経絡(4)原穴刺戟と刺戟経絡(5)募穴刺戟と異常グループ
4)4経絡の3刺戟の何れがどの経絡に大きな影響を与えるか
(1)原穴刺戟(2)兪穴刺戟(3)募穴刺戟
5)各刺戟経絡において,3刺戟の何れがどの経絡グループに最大の影響を与えるか
6)以上の他にI)(Ⅱ)の4)(6)の重要と思われるもの

(Ⅱ)各経絡での変化について
1)3刺戟の何れが10種の経絡に最も大きな影響を与えるか
(1)虚の経絡では(2)実の経絡では
(3)逆転の経絡では(4)不安定の経絡では
2)3刺戟の何れが何れのグループヘ大きな影響を生ぜしめるか
(1)虚の経絡(表48)(2)実の経絡(表49)
(3)逆転の経絡(表50)(4)不安定の経絡(表51)
3)有意な増加あるいは減少を示す経絡
(1)虚の経絡では(表52)(2)実の経絡ではr表53)
(3)逆転の経絡では(表54)(4)不安定の経絡では(表55)
4)1)の(1)(2)(3)(4)を一つの表にまとめる(表56)
5)2)の(1)(2)(3)(4)を一つの表にまとめる(表57)
6)3)の(1)(2)(3)(4)を一つの表にまとめる(表58)

Ⅲ章 治療法について
(I)3刺戟を全体的に捉えてみた治療法の要点
1)虚の経絡の3刺戟 2)逆転の経絡の3刺戟
3)実の経絡の3刺戟

(Ⅱ)3刺戟の各々による変化に基づいてみた治療法
1)虚の経絡について
(1)平均変化率に基づく効果(2)平均変化率より高い変化の度数 (3)考察,結論
2)実の経絡について
(1)平均変化率に基づく効果(2)平均変化率より高い変化の度数(3)結論
3)逆転の経絡について
(1)平均変化率に基づく効果(2)平均変化率より高い変化の度数(3)結論
4)不安定の経絡について
(1)平均変化率に基づく効果(2)平均変化率より高い変化の度数(3)結論

(Ⅲ)Ⅲ章の(Ⅰ)と(Ⅱ)の結論とⅡ章のⅢ)総括(Ⅱ)6)とを総合して治療法を考える
1)虚の経絡について(1)原穴刺戟(2)募穴刺戟
2)実の経絡について
3)逆転の経絡について
(1)兪穴刺戟(2)募穴刺戟
4)不安定の経絡について
(1)原穴刺戟(2)兪穴刺戟

(Ⅳ)兪穴刺戟と刺戟経絡について
(1)虚の経絡では(2)実の経絡では(3)逆転の経絡では(4)まとめ

(V)原穴刺戟と刺戟経絡との関係
(1)実の経絡では(2)逆転の経絡では(3)不安定の経絡では(4)まとめ

(Ⅵ)募穴刺戟と異常グループとの関係
(1)虚の経絡の募穴刺戟(2)実の経絡の募穴刺戟

(Ⅶ)虚,実,逆転,不安定の4経絡の原穴,兪穴,募穴刺戟について
1)原穴刺戟について
(1)虚の経絡の原穴刺戟(2)逆転の経絡の原穴刺戟
(3)実の経絡の原穴刺戟(4)不安定の経絡の原穴刺戟
2)兪穴刺戟について
(1)虚の経絡の兪穴刺戟(2)逆転の経絡の兪穴刺戟
(3)不安定の経絡の兪穴刺戟(4)実の経絡の兪穴刺戟
3)募穴刺戟について
(1)虚の経絡の募穴刺戟(2)実の経絡の募穴刺戟
(3)逆転の経絡の募穴刺戟(4)不安定の経絡の募穴刺戟

(Ⅷ)4経絡の3刺戟と経絡グループとの関係
(1)虚の経絡の募穴刺戟(2)実の経絡の募穴刺戟
(3)逆転の経絡の原穴,兪穴刺戟(4)不安定の経絡の兪穴刺戟

(Ⅸ)以上の他に,治療上重要と思われる刺戟←→経絡反応について
1)実の経絡の3刺戟は,ともに虚、実の経絡に影響
(1)実の経絡の原穴刺戟(2)実の経絡の兪穴刺戟(3)実の経絡の募穴刺戟
2)逆転の経絡の3刺戟は,ともに相剋関係経絡に影響
(1)逆転の経絡の原穴刺戟(2)逆転の経絡の兪穴刺戟(3)逆転の経絡の募穴刺戟
3)不安定の経絡の3刺戟は,ともに相生の逆関係の経絡に影響
(1)不安定経絡の原穴刺戟(2)不安定経絡の兪穴刺戟(3)不安定経絡の募穴刺戟

(Ⅹ)全体的にみて、治療上重要と思われる経絡と刺戟穴,及び重要でない経絡と刺戟穴
1)刺戟経絡について
(1)虚の経絡(2)逆転の経絡(3)実の経絡
2)刺戟穴について
(1)虚の経絡の原穴、募穴(2)実の経絡の募穴
(3)逆転の経絡の兪穴,募穴(4)不安定の経絡の募穴

(XI)異常経絡への良効果と悪効果
1)良効果と悪効果の表(表59)
2)治療法について

(XⅡ)4異常経絡の3刺戟の各々が,陰陽グループ経絡に与える影響
1)上記の内容を表にまとめる(表60)
2)考察
(1)虚の経絡について(2)実の経絡について
(3)逆転の経絡について(4)不安定の経絡について
3)むすび(治療法について)

(ⅩⅢ)4異常経絡の3刺戟の各々が,五行グループ経絡に与える影響
1)上記を表に纒める(表51)
2)考察
(1)虚の経絡について(2)実の経絡について
(3)逆転の経絡について(4)不安定の経絡について
3)むすび(治療法について)

(ⅩⅣ)針刺戟の全身に及ぼす影響について
1)虚の経絡の3刺戟穴刺戟による変化
(1)変化の表(表52)(2)変化の内容(表52)
2)実の経絡の3刺戟穴刺戟による変化(1)変化の表(表64)
(2)変化の内容(表65)3)不安定の経絡の3刺戟穴刺戟による変化
(1)変化の表(表66)(2)変化の内容(表67)
4)逆転の経絡の3刺戟穴刺戟による変化
(1)変化の表(表68)(2)変化の内容(表69)
5)治療効果について6)むすび

(ⅩⅤ)Ⅲ章で明らかになった治療法のまとめ
1)各異常経絡の治療について
2)全身28経絡の活性化、バランス化のために
3)異常経絡と陰陽,三陰三陽関係にある経絡の治療について
4)異常経絡と五行関係にある経絡の治療
あとがき

付録I 4種の異常経絡での三つのパラメーターの分析と、それらの諸性質の解明
―気エネルギーのバランスをいかにして改善するか―

I章 BPについて
(I)最虚を示す経絡について
1)BPで最虚を示す経絡は,陰経に多いか,陽経に多いか
2)BPで最虚を示す経絡は,手足のいずれの経絡に多いか
3)BPで最虚を最も多く,あるいは最も少なく示す経絡
(1)年間を通じて最虚を最も多く,あるいは最も少なく示す経絡
(2)シーズンによって最虚を最も多く示すに変動があるか

(Ⅱ)最実を示す経絡について
1)BPで最実を示す経絡は,陰経に多いか陽経に多いか
2)BPで最実を示す経絡は,手足のいずれの経絡に多いか
3)BPで最実を最も多く,あるいは最も少なく示す経絡
(1)年間を通してBPで最高値を最も多く示す経絡
(2)年間を通してBPの最高値を最も少なく示す経絡
(3)シーズンによって最実を最も多く示す経絡に変動があるか

(Ⅲ)最不安定を示す経絡について
1)BPで左右差最大値(最不安定)を示す経絡は,陰経に多いか陽経に多いか
(1)年間を通してみると(2)各経絡についてみると
2)BPで左右差最大値(最不安定)を示す経絡は,手足のいずれの経絡に多いか
(1)年間を通してみると(2)時期別にみると
3)BPで左右差最大値(最不安定)を最も多く,あるいは最も少なく示す経絡
(1)年間を通してBPで最不安定を最も多く示す経絡,及び最も少なく示す経絡
(2)シーズンによって最不安定を最も多く示す経絡に変動があるか

(Ⅳ)最逆転を示す経絡について
1)年間を通じてBPの最逆転を最も多く,あるいは最も少なく示す経絡
(1)年間を通じて最逆転を最も多く示す経絡
(2)年間を通じて最逆転を最も少なく示す経絡
(3)シーズンによって最逆転を最も多く示す経絡に変動があるか
2)BPで最逆転を示す経絡は,手足のいずれの経絡に多いか
3)陰経で最虚のBP値を示す経絡は最逆転を示すかどうか
(1)多くの場合一致する
(2)第2、第3の逆転を考慮すると、必ず最虚を示す経絡は逆転を示す

Ⅱ章 APについて
(I)最低値を示す経絡について
1)APの最低値を示す経絡は,陰経に多いか,陽経に多いか
2)APの最低値を示す経絡は,手足のいずれの経絡に多いか
3)APの最低値を最も多く,あるいは最も少なく示す経絡
(1)年間を通じてAPの最低値を最も多く示す経絡
(2)年間を通じてAPの最低値を最も少なく示す経絡
(2)シーズンによって、APの最低値を最も多く示すに変動があるか

(Ⅱ)最高値を示す経絡について
1)APの最高値を示す経絡は,陰経に多いか陽経に多いか
2)APの最高値を示す経絡は,手足のいずれの経絡に多いか
3)APの最高値を最も多く,あるいは最も少なく示す経絡
(1)年間を通じてAPで最高値を最も多く示す経絡
(2)年間を通じてAPで最高値を最も少なく示す経絡
(3)シーズンによってAPの最高値を最も多く示す経絡に変動があるか

(Ⅲ)左右差最大値を示す経絡について
1)APの左右差最大値(最不安定)を示す経絡は,陰経に多いか陽経に多いか
2)APの左右差最大値を示す経絡は,手足のいずれの経絡に多いか
3)APの左右差最大値を最も多く,あるいは最も少なく示す経絡
(1)年間を通じて最も多く示す経絡(2)年間を通じて最も少なく示す経絡
(3)冬シーズンで,APの左右差最大値を最も多く示す経絡に変動があるか

(Ⅳ)最逆転を示す経絡について
1)APの最逆転を最も多く,あるいは最も少なく示す経絡について
(1)年間の度数合計で最逆転を最も多く示す経絡
(2)年間の度数合計で最逆転を最も少なく示す経絡
(3)シーズンによって最逆転を最も多く示す経絡に変動があるか
2)APの最逆転を示す経絡は,手と足の経絡のいずれで多いか

Ⅲ章 IQについて
(Ⅰ)最低値を示す経絡について
1)IQの最低位を示す経絡は,陰経に多いか陽経に多いか
2)IQの最低値を示す経絡は,手足のいずれの経絡に多いか
3)IQの最低値を最も多く,あるいは最も少なく示す経絡
(1)年間を通じてIQの最低位を最も多く示す経絡
(2)年間を通じてIQの最低値を最も少なく示す経絡
(3)シーズンでIQの最低値を最も多く示す経絡に変動があるか

(Ⅱ)最高値を示す経絡について
1)IQで最高値を示す経絡は,陰経に多いか陽経に多いか
2)IQの最高値を示す経絡は,手足のいずれの経絡で多いか
3)IQの最高値を最も多く,あるいは最も少なく示す経絡
(1)年間を通してIQの最高値を最も多く示す経絡
(2)年間を通してIQの最高値を最も少なく示す経絡
(3)シーズンによって最高値を最も多く示す経絡に変動があるか

(Ⅲ)左右差最大値を示す経絡について
1)IQの左右差最大信を示す経絡は、陰経に多いか陽経に多いか
2)IQの左右差最大値を示す経絡は、手足のいずれの経絡に多いか
3)IQの左右差最大値を最も多く,あるいは最も少なく示す経絡
(1)年間を通じてIQの左右差最大値を最も多く示す経絡
(2)年間を通じてIQの最不安定を最も少なく示す経絡
(3)シーズンによって最不安定を最も多く示す経絡に変動があるか

(Ⅳ)最逆転を示す経絡について
1)IQの最逆転値を最も多く、あるいは最も少なく示す経絡
(1)年間を通じてIQの最逆転値を最も多く示す経絡
(2)年間を通じてIQの最逆転値を最も少なく示す経絡
(3)シーズンによってIQの最逆転を最も多く示す経絡に変動があるか
2)IQの最逆転値を示す経絡は、手足のいずれの経絡に多いか

Ⅳ章 考察
(I)L%~R%の最低値について
1)L%~R%の最低位は,陰経と陽経のいずれで多く現われるか
(1)年間の度数%の合計について(2)年間各月の度数%分布変化について
(3)年間を通して最低値を最高頻度及び最低頻度で示す経絡を,BP,AP,IQについて比較する(4)まとめ
2)L%~R%の最低値を示す経絡は,手足のいずれの経絡に多いか
(1)年間の度数%の合計について(2)年間の各月の度数%分布変化について(3)まとめ

(Ⅱ)L%~R%の最高位について
1)L%~R%の最高値は,陰経と陽経のいずれで多く現われるか
(1)年間の度数%の合計について(2)年間各月の度数%分布変化について(3)(1)、(2)のむすび
(4)年間を通して最高値を最多頻度及び最低頻度で示す経絡を,BP,AP,IQについて比較する
2)L%~R%の最高値を示す経絡は,手足のいずれの経絡に多いか
(1)年間の度数%合計について(2)年間各月の度数%分布変化について(3)まとめ

(Ⅲ)左右差(D%)の最大値について
1)左右差最大値は,陰経と陽経のいずれで多く現われるか
(1)年間の度数%の合計について(2)年間各月の度数%分布変化について
(3)(1)、(2)のむすび
(4)年間を通して、左右差最大値を最多頻度及び最低頻度で示す経絡を,BP,AP,IQについて比較する
(5)まとめ
2)左右差最大値を示す経絡に手足のいずれの経絡に多いか
(1)年間の度数%の合計について(2)年間各月の度数%分布変化について(3)まとめ

(Ⅳ)最大逆転値について
1)年間を通じて最大逆転値を最多頻度及び最低頻度で示す経絡について
(1)年間の度数%合計を通じて最大逆転値を最も多く示す経絡
(2)年間の度数%合計を通じて最大逆転値を最も少なく示す経絡
(3)むすび
2)最大逆転値を示す経絡は,手足のいずれの経絡に多いか
(1)年間の度数%合計について
(2)年間各月の度数%の分布について(3)むすび

V章 全体のまとめ
(I)最低値を示す経絡について
(1)年間でL%~R%の最低値を示す経絡は,陰,陽いずれの経に多いか
(2)シーズンによって,L%~R%の最低値の出現度数%が陰経と陽経の間で変化するか
(3)L%~R%Q最低値を最も多く,あるいは最も少なく示す経絡
(4)L%~R%の最低値を示す経絡は,手足のいずれの経絡に多いか

(Ⅱ)最高値を示す経絡について
(1)L%~R%の最高値を示す経絡は,陰陽いずれの経に多いか
(2)シーズンによって,L%~R%の最高値の出現度数%が陰経と陽経の間で変化するか
(3)L%~R%の最高値を最も多く,あるいは最も少なく示す経絡
(4)L%~R%の最高値を示す経絡は,手足のいずれの経絡に多いか

(Ⅲ)左右差(D%)最大値を示す経絡について
(1)左右差最大値を示す経絡は,陰,腸いずれの経に多いか
(2)シーズンによって,左右差最大値の出現度数%が陰経と陽経の間で変化するか
(3)左右差最大値を最も多く,あるいは最も少なく示す経絡
(4)最不安定を示す経絡は手足のいずれの経絡に多いか

(Ⅳ)最大逆転値(陰<陽)を示す経絡について
(1)最逆転を最も多く示す経絡と,最も少なく示す経絡に関して,BP,AP,IQに相違があるか
(2)最逆転を示す経絡は,手足のいずれの経絡に多いか

(V)総括
1)最低値(最虚)を示す経絡
(1)最低値は,陰陽いずれの経絡に多いか
(2)最低値は,手足のいずれの経絡に多いか(3)まとめ
2)最高値(最実)を示す経絡
(1)最高値は」陰陽いずれの経絡に多いか
(2)最高値は,手足のいずれの経絡に多いか(3)まとめ
3)最不安定を示す経絡
(1)最不安定は、陰陽いずれの経絡に多いか
(2)最不安定は、手足のいずれの経絡に多いか(3)まとめ
4)最逆転を示す経絡
(1)最逆転の年間度数%合計が最高第1位及び最低第1位の経絡
(2)最逆転は、手足のいずれの経絡に多いか(3)まとめ
5)BPについての総括
6)経絡、気エネルギー(体液の流れに対応)のバランスをいかにしてとるか

あとがき

付録Ⅱ 耳鼻咽喉科の症例におけるAMIデータの解析
(鼻アレルギーはどの経絡の異常と関係があるか)

目的 考察のI 結び 考察のⅡ 結語 治療法

付録Ⅲ 附子の経絡への影響

目的 実験方法 考察のI 結論I 考察のⅡ 結論Ⅱ 付記

付録Ⅳ AMIデータのグラフ化

1)図1について
(1)図1-1について(2)図1-2について
2)図2について
(1)平均値について(2)各経絡の不安定(D%)について
(3)各経絡の虚実について(4)各経絡の逆転について
(5)円形グラフと棒グラフは相補うものである
3)図3,図4について(虚、実、不安定、逆転の経絡と治療点について)
むすび

目  次


I章 皮膚電気現象の二種
Ⅱ章 経絡の存在証明
Ⅲ章 本山式AMIによる測定で得られるデータとその意味
Ⅳ章 BP,AP,TC,IQの性質と意味を、46人各人の平均値の度数分布と標準偏差についての考察に基づいて考える
V章 診断の実例

この論文は、ここ4~5年間、私どもの研究所で,約10年前に私の考案した経絡―臓器機能測定器(略称AMI)を改良しつつ測定されたデータの電気的性質を,物理学的立場や生理学的立場から考察したものを一つに纒めたものである。従って,AMIで測定される四つのファクター(要素)について,その意味を明らかにするのがこの論文の主たる目的であるが,そのためには幾つかの予備的補足的事項の説明が必要である.これらについての予備的知識を読者に与える目的で,次にその概略を述べることとする.

(1)まずその第一は,皮膚電気現象は二種類あるということである.

その一つは交感神経性のものであり,これは強い物理的刺戟,例えば強音とか高熱,強電気,強くつねる等、あるいは感情を逆なでするような言葉や絵を与えて感情の興奮を生ぜしめる心因性刺戟等によって,感覚→大脳皮質→辺縁系→自律神経センター→交感神経→汗腺細胞に分布する交感神経→汗腺細胞の脱分極→負電位の増加,という形で皮膚の電位が変化する皮膚電気現象である.

強い物理的刺戟であれ心因性刺戟であれ、上記の経路を通して汗腺にインパルスが途すると,汗腺細胞の膜の内外に,異なったイオンに対する膜の選択的透過性によってできていた分極、つまり膜の外側に正のイオンが集まり、内側に負のイオンが集まっていたのが,汗腺細胞に分布する交感神経の興奮で,この汗腺細胞膜の分極が消失する(脱分極).そして膜の内側の負イオンが外へ,外の正イオンが内側へ流れこんで,一時的に逆の分極が生ずる.この時,汗腺孔付近の皮膚は負電位となる,この逆分極は暫くするとまた元の分極に帰る(再分極). 以上のような交感神経性の皮膚電位変化現象は,全身的である.これに対し,皮膚の局所に弱い物理的刺戟を与えると,皮膚に局所的に,神経性の場合とは逆に,正電位変化が生ずる.これは体液性のものであり(詳しくは本文をみよ),これが経絡機能と密接な関係を有する。AMIで測定するAP(分極後の電流値)は,この体液性の局所的あるいは経絡系の正電位変化現象を捉えている.

(2)補足事項の第二としては,経絡の存在証明である.

一つはEEG(脳波計)を使って,強物理刺戟に対する三焦経の各穴の全身的神経性電位変化と,弱刺戟による背部兪穴と腹部募穴のみでの反応とを比較して,経絡系が神経系と異なるエネルギー流通路であることの証明である(これについては拙著『経絡―臓器機能測定について』宗教心理学研究所刊 1974年 を参照されたい.

二つは,液晶(これはコレステロールを基剤とした液体で,僅かの温度変化によって色が変わる性質をもつ)を腕に塗り,各経絡の原穴に熱刺戟を加えて,当該経絡を流れる体液に温度変化が生じ,経絡に沿うて帯状の色の変化が生じ,経絡の存在を視覚的に捉え,その存在を証明したものである.

以上のような予備的補足的説明を通じて,経絡の存在が完全ではなくても説明されるに至った.そこで,この各経絡の機能の状態をよく反映すると言われる,手足の指端にある各経絡の井穴について,次のような四つの電気的ファクター(要素)について測定を行ない,それの意味を実験データに基づいて説明するのが,この論文の主たる目的である.
その四つのファクターとは次のとおりである.

(1)BP(Before Polarization の略)
これは,皮膚のバリアの上下に負荷した電位と電流に対して逆分極が生ずる前に,負荷した電位によって流れる電流である.というのはAMIでは,3Vの低い直流電圧を,2ミリセカンドという短い間,矩形波として,井穴の関電極と手首の不関電極間に与えるが,矩形波の極く初めは1メグ(1秒間に100万回、正負の電位が交替する速い交流)あるいは0.1メグ(1秒間に1000万回正負電位が交替)という速い交流である.

ところが生体内の体液中に含まれる正,負のイオンは,せいぜい1秒間に2万回程度の正負の交替に追いつける程度の速さでしか動けない.従って矩形波が与えられた初めは,生体のイオンはなすすべがなく、与えられた電流を流すのみである。この時流れる電流値は,生体の皮膚組織がもっている固有の抵抗で定まる.健康で体液のよく流れる人ではこの固有抵抗が低く,BPの電流はよく流れる.老人や重病人や虚弱な人では体液の流れが悪く,抵抗が高く,BPの電流値は低い.このBPの値は,健康か病人かを区別するのに重要なファクターである.又,今までの生理学では,負荷した電気は皮膚の表皮の内のみを流れて,真皮内には達しないというのが定説であったが,このBP測定の結果,BPの電流は主として真皮内を流れることが判明した.

(2)TC(Time Constant の略)
負荷する矩形波電圧の中程以降になると,交流成分も遅いものとなり,1秒間に2万回ぐらいの正負電位の交替をくリ返す交流(つまり20キロサイクル〔20KC〕ぐらいの交流)となる.すると,生体の体液中に含まれる正負のイオンも,これに追いつきうるようになる.ここで生体のイオンは,外から負荷された電圧とは逆方向に電圧をつくるべく,皮膚表皮内のバリア膜(阻止膜)の上下に集まってきて,そこに逆電位,つまり(逆)分極をつくる.

この分極を完成するに要する時間がTC(タイム・コンスタント)である.従ってこれは一面では,イオンの流れる速さを表わすと考えてよい.

(3)IQ(Integrated Electrica1 Charge の略)
これは,バリア膜の上下に集まるイオンの総量である.従って分極の大きさを表わす.病人や虚弱者では,この分極の大きさを表わすIQの値が健康人より小さい.特に癌患者では極端に低くなる.消失することもある.IQは,健康か病気かを判断する重要なファクターである.IQは,電気的には,電気的容量と考えてよい.

(4)AP(After Polarization の略)
バリア膜の上下に分極が生じた後は,この分極が抵抗となって,負荷電圧による電流は流れにくくなる.にもかかわらず,BPの電流値の約1/30~1/40の電流が,分極後も流れる。この電流の大部分は表皮内を流れる.ころで,このAPの電流の方向は,増加したり減少したりする.つまり正の方向に流れたり負の方向に流れたりして,一定でない.又,電流値も5μA(5マイクロアンペア)~100μAというふうに非常に散らばりが大きい.これらのことは,バリア膜の上下に(逆)分極が生じた後も,バリア膜の正負のイオンに対する透過性が依然として高く,膜を正負のイオンがある程度自由に流れる,そのために,正負の流れに混乱が生じ、流れが一定でなく,負荷した電圧と同方向の流れになるとAPの電流量が増加,逆だと減少するのであろう.従ってAPの電流値は,分極後のバリア膜を透過するイオンの拡散電流によって影響されるように思う.

以上の四つの電気的ファクターが,AMIによって,各経絡の井穴において測定される.四つのファクター(特にBPとIQ)は経絡機能,生体の健康,疾病の状態を判定するのに,重要な情報を我々に与えてくれる.そのことを,最後に3人のデータを示して説明することにする.

(1980年8月)