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AMIによる神経と経絡の研究

¥ 2,200 (税込)

神経系と経絡系とは異質の系であり、自律神経と経絡系とは生体内で拮抗的に働き、動的バランスを保ちつつ生体を維持していることを、AMIによる実験に基づいて明らかにした。

B6判上製 143頁

本体価格:2000円

ISBN 978-4-87960-039-4

商品カテゴリー: Product ID: 1459

説明


本書は、私始め研究所で発明したAMI(経絡-臓器機能測定機)によって、この数年間に種々の実験をした結果の内、①最近種々と話題になっている「気」についての実験結果、②経絡系と神経系との関係が明らかになったもの、③歯科の咬合治療で全身の経絡機能及び全身の症状が如何に改善されたかが明らかになったもの、等を選んで、一冊の本に纒めたものである。

まず最初に、AMIとは何か、AMIによって何が測定されるかの基本酌説明をするために、日本漢方協会での講演「経絡における気の測定」を第I章においてAMIについて説明し、続いて、気とは何か、内気、外気とは何かについて実験した結果から、外気は対人関で無意識的気の次元で相互に働き合い、経絡では胃経、脾経、肝経、胆経等の消化器系と関係のある経絡に有意な変化を生ぜしめること,また,ごれらの諸経絡はヨガでいうマニプラチャクラと関係するものであり、このマニプラチャクラは、気とかプラーナを受容するPsiエネルギーの受容センターであることから、外気が上述の諸経絡に有意な変化な変化を生ぜしめる理由を明らかとした。

第Ⅱ章の「経絡と分極前電流との関係」は、全日本鍼灸医学会の年次大会で教育講演をしたものである。ここでは、少し専門的に、AMIで測定できる四つのパラメーター、BP、AP、IQ、TCの説明をし、BPつまり分極前電流が、生体の真皮結合戦内多水層を流れる電流であり、これが経絡の機能を示すパラメーターであることを、種々の実験に基づいて証明したものである。

第Ⅲ章は、AMIによって、井穴、背部兪穴、督脈で上述の四つのパラメーター、すなわちBP(経絡機能のパラメーター)、AP(神経機能のパラメーター)、IQ(防衛機能のパラメーター)、TC(防衛機能の速度のパラメーター)の4パラメーターを測定し、AMI診断による治療点への置針刺戟前のデータで、井穴と背部兪穴、井穴と督脈の間に相関があるかどうかを調べてみると、井穴-背部兪穴間、井穴-督脈間共に神経系よりも経絡系による相関が優勢であるが、井穴-背部兪穴間では、経絡系の相関が井穴-督脈間よりも、より優勢であることが明らかとなった。
経絡では、肺、肝、三焦の3経絡の井穴の各々が、ほとんどの督脈点及び背部兪穴と有意な相関を示した。

治療点刺戟前後の井穴、背部兪穴、督脈点での各パラメーターの値についてT検定してみると、井穴は経絡反応を示す点であり、督脈点は自律神経機能と径絡機能の反映する点であること、背部兪穴は自律神経機能と経絡機能を反映するが、経絡機能の反応が優勢であることが明らかとなった。
治療点刺戟に対する督脈点での自律神経反応は機能低下の形で反応し、経絡反応は経絡機能活性化で反応し、神経系と経絡系とが異質の系であり、相互に桔抗的に働いて、生体全体のバランスをとっていることが推測された。

最後に、以上の実験結果に基づいて、神経反応と経絡反応が督脈点と背部兪穴に現われるアカニズム、経路を、神経系と経絡系の両面から考察してみた。

第Ⅳ章は、現在日本の歯科医師間で、咬合異常が生体全体に重大な影響を及ぼすことが気付かれ、その研究が進んでいる。その研究グループのリーダーの一人であり、埼玉インプラント協会会長、日本歯科東洋医学会副会長をしておられる尾澤文貞氏との協同研究で、AMIによる咬合治療前後の経絡変化について研究をし、その成果は本年(1987年)、ハワイの国際咬合治療学会で尾沢歯科医師によって発表された。その論文が第Ⅳ章となっている。

この研究では、咬合治療によって、上歯に分布する胃経、下歯に分布する大腸経の機能が改善されること、小腸経、膀胱経、肺経等が改善されることが明らかとなったが、とりわけ、膀胱経は全身機能と関連する重要な経絡であり、それが活性化、改善されることは、全身の機能の改善が行なわれることを意味する。
以上、AMIとは何か、AMIによる実験によって明らかになったことを概略したのであるが、気の問題、神経系と経絡系の関係が少しでも明らかになったことが、これらの問題に興味をもち、これから研究しようとしておられる方々に、一つの方向を示唆することができれば幸いである。

本山 博
1987.11.28


著者序文

I章 経絡における気の測定

はじめに
I.AMIについて
Ⅱ.BPについて
Ⅲ.BPは経絡のパラメーター
Ⅳ.BPの流れる場所
V.真皮の構造
Ⅵ.インドのナディ説と経絡説
Ⅶ.気の流れの速度と方向

1)気の流れの方向
2)気の流れの速度
3)GSR反応
4)経絡反応

Ⅷ.気とは何か
Ⅸ.外気の作用

Ⅱ章 経絡と分極前電流との関係
―経絡は真皮結合織内多水層に在る―

はじめに

I.AMIで測定できる四つのパラメーターとその意味

1)最大電流(BP)について
2)最大竃流は真皮内を流れる
3)最大電流は真皮結合戦多水層内を流れる
4)分極は表皮基底膜で生ずる
5)表皮基底膜で生ずる分極の模式図
6)BP,AP,IQ,TCについて

Ⅱ.BPが経絡機能を示すパラメーターである

むすび
―経絡は真皮結合織の多水層である―

Ⅲ章 井穴・背部兪穴・督脈点の間の相関と、これら三点経穴における針効果の相違

I.目的

(1)督脈点と井穴との相関をみる
(2)背部兪穴と井穴との相関をみる
(3)治療点置針刺戟の、井穴、督脈点、背部兪穴への影響をみる

Ⅱ.実験方法

(1)井穴、督脈点、背部兪穴の測定
(2)治療点決定と置針
(3)井穴、督脈点、背部兪穴での再測定

Ⅲ.データの計算と分析の方法

1. 督脈点と井穴間、背部兪穴と井穴間の相関係数を求める

1)督脈点と経絡井穴との相関係数を求める
2)背部兪穴と経絡井穴との相関係数を求める

2. 治療効果をみるためにT検定を行なう

1)全身について

(1)BP、AP、IQ、TC についてT検定
(2)F/T、L/RについてT検定

2)各経絡について

(1)井穴の4バラメーターについてT検定
(2)督脈点の4パラスーターについてT検定
(3)背部兪穴の4パラメーターについてT検定
(4)異常経絡での4パラメーターについてT検定
(5)異常経絡に対応する督脈点の4パラメーターについてT検定
(6)異常経絡に対応する背部兪穴O4パラメーターについてT検定

Ⅳ.データの分析と考察

1. 相関について

1)BPについて

(1)督脈点と井穴間にBPについて相関があるか

(A)29督脈点が、ある経絡井穴と相関を示す度数
(B)ある督脈点が14経絡井穴と相関を示す度数
(C)ある督脈点は14経絡中のどの経絡井穴と最も高い相関を示すか

(2)背部兪穴と井穴間にBPについて相関があるか

(A)29背部兪穴が、ある経絡井穴と相関を示す度数
(B)ある背部兪穴が14経絡井穴と相関を示す度数
(C)ある背部兪穴は14経絡中のどの経絡井穴と最も高い相関を示すか
(D)ある背部兪穴は14経絡中のどの経絡井穴と第2位の相関を示すか
(E)膀胱経の井穴は29兪穴中3兪穴と相関を示すのみ

2)APについて

(1)督脈点と井穴間に、APについて相関があるか
(2)背部兪穴と井穴間にAPについて相関があるか
(3)経絡系と神経系とは異質のものである

3)IQについて

(1)督脈点と井穴間に、IQについて相関があるか
(2)背部兪穴と井穴間にIQについて相関があるか
(3)防衛機能系と経絡系とは異質のものである

2. 針の効果について

1)井穴での変化について

(1)各経絡について〔(L+R)/2の値について〕

(A)APについて (B)TCについて (C)BPについて (D)IQについて (E)むすび

(2)四つのパラメーターの14経絡の平均値について

(A)AP、TCについて (B)BPについて (C)IQについて

(3)F/Tについて

(A)AP、TCについて (B)BPについて (C)IQについて (D)BP、IQにおけるF/T増加の内容について

(4)L/Rについて

2)督脈点での変化について

(1)APについて
(2)TCについて
(3)BPについて
(4)IQについて
(5)むすび

3)背部兪穴での変化について

(1)APについて
(2)TCについて
(3)BPについて
(4)IQについて
(5)むすび

4)虚、実、不安定、逆転を示した経絡での変化について

(1)井穴において

(A)APについて  (B)TCについて (C)BPについて  (D)IQについて (E)むすび

(2)督脈点において

(A)APについて  (B)TCについて (C)BPについて  (D)IQについて (E)むすび

(3)兪穴において(左右兪穴の測定値の平均値についてT検定)

(A)APについて (B)TCについて  (C)BPについて  (D)IQについて (E)むすび

V.考察と結論

1.相関について

1)BPについて

(1)督脈点と経絡井穴との相関について

(A)肝経、肺経、三焦経等の井穴と督脈点との高い相関度数
(B)5経絡(井穴)と最高の相関を示す脊椎分節
(C)より多くの経絡井穴と相関する督脈点  (D)結論

(2)背部兪穴と井穴との相関について

(A)肺経、肝経、三焦経等の井穴と背部兪穴との高い相関度数
(B)肝経、肺経の井穴と最高の相関係数を示す兪穴はそれぞれ13兪穴と8兪穴もある
(C)より多くの経絡井穴と相関する背部兪穴  (D)結論

2)APについて

(1)督脈点と井穴との相関について・
(2)背部兪穴と井穴との相関について
(3)APとBPの異質性
(4)結論

3)IQについて

(1)督脈点と井穴との相関について
(2)兪穴と井穴との相関について
(3)BPとIQの異質性について
(4)結論

2. 針の効果について

1)井穴での変化について

(1)各経絡井穴について
(2)四つの各パラメークーの平均値について
(3)F/Tについて
(4)L/Rについて
(5)結論

2)督脈点での変化について

(1)APについて
(2)TCについて
(3)BPについて
(4)IQについて
(5)結 論

3)背部兪穴での変化について

(1)APについて
(2)TCについて
(3)BPについて
(4)IQについて
(5)結 論

4)虚、実、逆転、不安定の四つの異常経絡での変化について

(1)井穴において

(A)APについて (B)TCについて (C)BPについて  (D)IQについて (E)結論

(2)督脈点において

(A)APについて (B)TCについて (C)BPについて  (D)IQについて (E)結論

(3)背部兪穴において

(A)APについて  (B)TCについて  (C)BPについて  (D)IQについて (E)結論

Ⅵ.総括的結論

1)相関について

(1)井穴-兪穴間、井穴-督脈点間では経絡系の相関が優勢
(2)井穴-兪穴間の経絡系相関が、井穴-督脈間のそれより密接である
(3)肝、肺、三焦経が最多の相関を示す
(4)より多くの井穴と相関する督脈点は、頚椎、腰椎に集中している
(5)より多くの井穴と相関する背部兪穴は、頚椎、腰椎、仙椎に集中している
(6)経絡系と自律神経系、防衛機能系は異質の系である
(7)膀胱経は最低の相関を示す

2)針の効果について

(1)井穴は経絡反応を示す点である
(2)督脈点は自律神経と経絡の両系の反応が現われる点である
(3)自律神経系と経絡系は異質の系である
(4)背部兪穴は主として経絡反応の現われる点である

3)四つの異常経絡での反応について

(1)4異常経絡の井穴は経絡反応を示す点
(2)4異常経絡の督脈点は自律神経反応の現われる点
(3)4異常経絡の背部兪穴は自律神経反応の現われる点
(4)膀胱経の井穴と背部兪穴との関係、膀胱経の井穴と督脈点との関係についての新しい視点

4)井穴、背部兪穴、督脈点について

(1)井穴は経絡機能を反映する経穴である
(2)督脈点は自律神経機能と経絡機能の反映する点
(3)背部兪穴は経絡機能と自律神経機能が反映するが、経絡機能の反映が優勢
(4)督脈点での反応は、経絡系と自律神経系が異質のものであることを示す
(5)井穴、背部兪穴は防衛機能を反映する点でもある

5)神経系と経絡系の関係について

Ⅳ章 咬合治療の効果
―咬合治療前後の経絡変化―

はじめに
1. 目 的
2. 検査方法
3. データの分析法
4. データの分析結果と考察

1)全身の経絡について
2)各経絡について

(1)(L+R)/2について

大腸経及び腸兪経、八兪経について  小腸経について
膀胱経について  五十肩と咬合治療  肺経について

(2)L-R=Dについて
(3)(L+R)/2とL-R=Dにおけるtの値の、十と-の度数分布について

I章
経絡における気の測定

はじめに

きょうは「気について」という話しをしてほしいということでしたので、私どもの研究所でつくりました、AMIという、経絡の機能、気の状態を測る測定器(15年ほど前からだんだんに改良しまして、今の形になっています)で測定したものがどういうものか、経絡というものは今までは臨床的に、あるいはどちらかといえば主観的な形でつかまえられていたわけですけれども、それを客観的に、あるいは解剖生理学的にみたら、どういうものでどういうところを流れているものか。
それを測る機械(AMI)は一体何を測っているかという話を最初にしまして、その後でそういう経絡の中を流れている気というものはどんな方向に、どういう速度で経絡の中を走っているのだろうか。最後に、気の本質といいますか、気というものは一体どういうものなのだろうかということについて、去年からことしにかけて1年ほどいろいろ実験したことについて、お話ししたいと思います。

特に気といいますと、今までは内気といいますか、身体の経絡の中を流れている気のエネルギーだけについて考えていたわけですが、最近は4~5年前から、外気功といいますか(中国でもほんの少数の方が外気功を実際にできるようですけれども)、気のエネルギーが外に出て、いろいろな外の、ほかの人の身体とか、あるいはほかの自然のものに対して影響を与える。本当にそういうことがあるかどうかという実験をしてみました。

気のエネルギーというのは、身体的なもの、例えば元気がないというふうな身体的なエネルギーとしても使われるし、あるいは気分が悪いというふうに、精神的な、あるいは感情とか、そういうものとのつながりにおいて、精神的なエネルギーの一種というふうにも考えられます。それからある人は、気というのは精神と身体とを結ぶ仲介的なものというふうにも考えています。

それから先年でしたか、筑波のほうでこういう問題について国際学会がありまして、そのときにも話しをしたのですが、その折に私の説明に、いろいろ中国的な立場や経絡の立場から補いを間中先生がしてくださったわけですけれども、そのときに間中先生の話しですと、気というのは、中国人というのは何でも得体の知れない、つかまえどころのないものをみんな気と称しているのだというお話しがありましたが、去年から1年ほどかけて、外気功といいますか、外気というのはどういうものかというのを調べた結果では、どうも気というのは物理的なエネルギーの一種ではないだろうかという実験結果が出てまいりました。そういうことも最後にお話ししたいと思います。