
| 人類発生以来、人間観はどう変遷してきたか、科学や政治は人間をどうみてきたか、種々の宗教、文化は人間をどうみてきたかを考察し、将来の地球社会において人間はどう把握されるべきか、人間の全体像とはなにかを考え、それを充足させ成長させるには、宗教、文化、政治、社会組織はどうするべきか、人間はどう生きるべきかを示している。 | |||||
| B6判上製 225頁 定価 2,650円 ISBN-87960-049-0-C0014 1996年6月発行 宗教心理出版 |
序
一章 ホリスティックな人間とは何か
1.人間と自然、心と物との関係
(1)セム族系宗教、文化圏での人間と自然、心と物との関係
A 対立関係 B 科学の成立 C 対立の考えの生じた原因
(2)雨の多い温帯、熱帯の自然に恵まれたアジア圏での人間と自然、心と物との関係
A 自然の大生命の顕現 B 自然との融和、同質性 C 科学が生じにくい
D 物のもつ精神的要素−−−科学の発達しないもう一つの理由−
(3)心と物との相互作用の条件、メカニズムを探る実験
2.人と神、絶対者との関係
(1)セム族系文化圏
A 神と人間との絶対的区別 B 人間には自由がない
C 仲介者としてのキリスト D 創造者と被造物との関係
E 啓示−神と人間をつなぐもの−
(2)アジア文化圏−−神と人間、自然との同質性
A 神と人間、自然との同質性 B 即非の論理
3.人間と道徳
(1)セム族系文化圏での道徳
A 神からの命令、律法、契約としての道徳、戒律
B 砂漠の共同体生活には強い統制が必要である
C 神から与えられた道徳、戒律への絶対的遵守と罪、裁き
D 道徳を守る人間の自主性はあるか
E 人為的規制としての道徳
(2)アジア文化圏−−−仏教、ヒンズー教、道教、神道の文化圏
A 自己の魂の浄化、悟りへ達するための精神的訓練
B アジア文化圏とセム族文化圏の基本的世界観の違いが道徳の違いをつくる
C 行為に対する個人の責任とカルマ
D セム族文化圏での個人主義とアジア文化圏での集団主義
4.共同体と個人
(1)セム族系文化圏での共同体と個人との関係
A イスラム文化圏 B 西欧文化圏と東欧文化圏
(2)東南、東アジア文化圏での個人と共同体との関係
5.カルマと再生について
A キリストは再生を知っていたと思われる
B セム族系宗教、文化圏でカルマや再生の教えが生じにくい理由
(a)終末思想は、再生の思想を入れにくい
(b)神の唯一性、超越性、霊性の強調は、再生説を否定する
(c)天国志向は、再生説を生ぜしめない
(d)他力信仰では再生説は生じにくい
(e)共同体の宗教では再生説が生じにくい
(f)イスラムではカルマの思想は生じにくい
(g)再生説が取り入れられない理由
C アジア(仏教、ヒンズー教、道教、神道)
の文化圏では再生とカルマを説く
a)再生の実例
D カルマと再生の定義
E 再生の目的と再生の必要性
6.個人の自由、権利、義務について
A ヨーロッパとアジアでの個人の自由、権利、義務についての比較
7.ホリスティックな人間
(1) Holistic な人間存在−人間の多重次元性−
(2)身体について
A 身体性 B 物の原理 C 心の原理
D 身体の個別性と普遍性(社会性)
(3)心について
A 人間の心の構成 B 感覚、欲望 C 感情、想像力
D 思考力 E 意志、行為 F 意識と無意識
(4)身体と心における個別性、共通性についての違い
(5)魂について
A 気、経絡について B チャクラと経絡
C アストラルの心・身・物について
(a)アストラルの心−感情、想念
(b)アストラルの身体、自然、物 (c)チャクラ
(d)性別について (e)アストラルの魂の個別性と普遍性
(f)アストラルの魂の感覚について
D カラーナ次元の魂
(a)カラーナの魂の身体について
(b)自由な魂の特徴−同時に複数の存在になりうる−
(c)カラーナの魂の本質的働き−普遍の真理の実現−
(d)カラーナの魂の個別性
(e)個別性とカルマの法則
(6)物理的次元の人間と、アストラル、カラーナ次元の人間との関係について
A 物理的次元の身体の制約下で働くアストラル、カラーナの魂
(a)感覚や手足を通しての外界の認識と働きかけ
(b)アストラル次元の感情と物理的次元の感情
(c)理性について
B Psi についての実験(光の実験)
a)霊能者M.Y.のAMIデータ
b)M.Y.に関する霊能力テスト
c)光の実験から明らかになったこと
d)結び
C 結論
二章 新しい世界宗教のパラダイム
1.現在の世界宗教の教えの相違について
A カルマ、再生の問題 B 終末観の有無 C 物と心の関係
D 道徳、罪、罰、審判 E 絶対者、神の概念の違い
F 神と人間との関係
2.自力と他力
セム族系宗教とヒンズー、仏教の統合
(1)自力の宗教と他力の宗教
A 砂漠の宗教は、本質的には他力宗教である
B 自力宗教圏における現実生活での自主性の希薄さ
C 他力と自力との統一
D 砂漠の宗教と森林の宗教の違いと統一
3.他力宗教と自力宗教の統一
4.宗教と科学(宗教と科学の相違)
A 科学 B 砂漠の宗教は、科学を成立せしめる素地をもつ
C 自然との融和に生きるアジアの宗教
D 心の面で捉えられた自然や物(アジアの宗教では科学の成立しがたい)
E 物に、物の面と心の面とがあるのだろうか
F 観想法とローソクの火 G 光の実験
H 物の根底に心がある −科学の根底に精神世界がある−
5.宗教と政治
A 宗教、政治とは何か B 宗教と政治の関係
C 人間存在とは何か D 現代の国家と政治の形態)
E 現代国家における政治と宗教の関係
F 地球社会における政治と宗教との関係
5.新しい世界宗教のパラダイム
A カルマと再生 再生について/因果応報と自由意志について
B 戒律と道徳について C 物と心
D 宗教と科学は共存すべきである
E 宗教と政治 全体的人間存在について/現実の政治/未来の政治形態
F セム族系宗教と仏教との、創造神と絶対者の概念の統合
序
一章では、ホリスティックな人間観について考える。
宗教は人類発生以来、常に呪術等のPrimitive
な形で人間の生活に密接に結びついていたらしいことが、考古学的遺跡から推測される。セム族系宗教や文化、仏教やヒンズー教、道教等ができたのはせいぜい5000〜10000
年前以降である。それ以前の宗教は、ネアンデルタール人(10万〜20万年前)のもっていたSorcery
(呪術)−−−死者の霊の祟りを恐れ、死体を埋める。現実の人間生活を安全にするShamanism
−先祖の霊に子孫を守ってもらう−自然崇拝−多神教−、部族の生活を守ってもらう−等々であった。
常に、今住んでいる地域での現実の人間の生活を守ってもらうことに、宗教の一つの基本があった。
セム族宗教やアジア宗教が生じる前のPrimitive
な宗教では、両宗教にみられるような違いはなく、上のような特徴をもっていたと思われる。
併し、農耕が始まって、それまで狩猟生活、採取生活であったのが、人間が農耕民と狩猟民族とに別れてから、宗教、文化、人間観に大きな違いが生じたように思う。
狩猟民族であるセム族の宗教文化と農耕民であるアジア人の宗教文化自然環境に基づいて、狩猟の生活様式から同一律的思考が成立し、神、自然、人間の対立関係に基づいた世界観が形成され、農耕民であるアジア人の宗教と文化では、恵まれた
自然に従う農耕生活様式から、自然、人間も目に見えない自然の大生命、神、絶対者の顕現であり、人間も自然も神も本質的には同質であるという世界観が形成された。
これらの人間観、世界観を詳しく比較考察しよう。
最後に、両文化系に共通な、人間存在にとって共通な構成要素、機能、即ち、人間存在は身体・心・魂からなり、三つの構成要素のそれぞれが個別性と社会性をもっており、この全体が人間の全体的構造と機能であることを、身体・心・魂、個別性、社会性(普遍性)の各々について詳述しつつ、明らかにする。
二章では、現在の世界諸宗教を統合した人類のための新しい世界宗教のパラダイムを考える。